ヤリマンボウは謎がいっぱい!?

みなさん、こんにちは!この度、ものすごく貴重なヤリマンボウ属魚類の写真を頂きました。右の写真のヤリマンボウ属魚類です。私が今まで見てきたヤリマンボウは下の写真のヤリマンボウ。背鰭、尻鰭の形、そして舵鰭の形が全然違うのです。注目すべきはやはり舵鰭でしょう!ヤリマンボウに特有の舵鰭中央部の尖り部分が私たちが今まで見てきたヤリマンボウとは明らかに違います。明らかに長く突出しています。
 ヤリマンボウの幼魚にもこの部分はありますが、・・・今、考えるとこの幼魚は一体どちらのヤリマンボウの幼魚なのでしょうか?わからなくなってきました。 
 さらに注目すべきは色調の違い。今回頂いたヤリマンボウ属魚類の写真は体の中央部は真っ白で顔から背鰭、舵鰭、尻鰭はその白い部分を縁取るように黒いですね。さらにシミのような部分も見られます。
 それに比べて私が見てきたヤリマンボウは体の大部分は薄い銀色をしており、体の上部、各鰭部分は紫色をしています。
全く違いますね。これだけの部分が違えば、別種である可能性が高いと思われます。私も日本周辺、太平洋の赤道付近のヤリマンボウのミトコンドリアDNAを用いて系統樹を作成しましたが、別種を発見できるほどの枝分かれは見られませんでした


ヤリマンボウ属魚類
全長:195.1cm 体長:137.5cm 全高:196.4cm
採集日時:2005年1月19
採集方法:本荘市石脇の海水浴場砂浜に打ち上げられたヤリマンボウ属魚類を採集
写真提供:秋田県水産振興センター 杉山秀樹様、大竹敦様


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今まで見たヤリマンボウ(全長:106cm)

ところでヤリマンボウ属にはトンガリヤリマンボウとヤリマンボウの2種類がいると言われていますが、トンガリヤリマンボウはヤリマンボウと同種だと言う学者さんも多く、その論争に決着がついていないそうです。本当にトンガリヤリマンボウが存在するのかはまだわかりません。しかし、今回のこのヤリマンボウ属魚類の存在でその正体が明らかになるかもしれません。この標本はただ今、国立科学博物館動物研究部で調査されているそうです。マンボウファンであれば誰でも知っているあの「マンボウ前線接近中」のページを作成された松浦先生の研究部です。私も松浦先生から色々なアドバイスをいただきました。研究結果が非常に楽しみですね。もしかしたらさらに新しいヤリマンボウ属魚類の存在が明らかになるかも!?みなさん、結果を楽しみに待ってましょう。私のわがままなお願いを聞いて下さり、写真を提供して下さった秋田県水産振興センターの杉山秀樹様、大竹敦様、本当にどうもありがとう御座いました。秋田県水産振興センターのホームページにこのヤリマンボウの記事が掲載されています(当然、この記事よりも前に)。是非、ご覧下さい。

ちなみに・・・秋田県水産振興センターのホームページに載っている写真2のヤリマンボウと私が見たヤリマンボウ、違う気がする。色調も違うし、舵鰭も・・・。最近、私の見たヤリマンボウは本当にヤリマンボウなのかと考え始めました。しかしマンボウとも明らかに違うのです。ヤリマンボウ、まだまだ謎がいっぱいですね。

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このヤリマンボウの幼魚・・・成長したらどっちのヤリマンボウになるのでしょうか?

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